【図解】中和滴定において、強酸・弱酸・強塩基・弱塩基のすべての組み合わせでどのような滴定曲線が得られるのかを解説し、それぞれで適切な指示薬はフェノールフタレインなのか、メチルオレンジなのかについて全パターンを解説します。
ちなみに僕は10年以上にわたりプロとして個別指導で物理化学を教えてきました。
おかげさまで、個別指導で教えてきた生徒は1000名以上、東大京大国公立医学部合格実績は100名以上でして、目の前の生徒だけでなく、高校化学で困っている方の役に立てればと思い、これまでの経験をもとに化学の講義をまとめています。参考になれば幸いです。
中和滴定における指示薬とは
そもそも中和自体を忘れた人は【練習問題付】中和反応とは?化学反応式と計算問題の解き方を参考にしてください。
また滴定に使う実験器具の使い方についての話を忘れた人は【完全版】中和滴定の滴定器具の使い方と違い(練習問題付き)を参考にしてください。
酸と塩基を中和する際、いつが中和点なのかを色で視覚的に判断するために加えておく物質を指示薬といいます。
指示薬は、特定のpHで色が変化する特徴があります。
高校化学では、フェノールフタレインとメチルオレンジの2つの指示薬を覚えておきましょう。(メチルレッドも教科書に書いていることがありますが、ほとんど出題されないので基本的に不要です。。。)
フェノールフタレイン・メチルオレンジとは
フェノールフタレインは、pHが約8.0~9.8に変色域があり、pHがこの範囲より酸性側だと無色、塩基性側だと赤色になります。
メチルオレンジは、pHが約3.1~4.4に変色域があり、pHがこの範囲より酸性側だと赤色、塩基性側だと黄色になります。
中和滴定の滴定曲線とは
滴定曲線とは、酸または塩基の滴下量に対して、溶液のpHがどのように変化していくのかを表したグラフのことです。
以下は、酸が入ったコニカルビーカーに塩基を加えていく場合についてのグラフです。
最初は酸だけしか含まれていないため、pHは7より低い状態にあります。
そこに塩基を加えていっても、最初はpHがほとんど変化しません。
中和点付近になった際、一気にpHが変化し、塩基性へと変わります。(pHジャンプといいます)
その後はpHがほとんど変化しません。
このような軌道を描くのが滴定曲線です。
このpHジャンプは一滴のレベルで起こるpHの変化なので、この部分に指示薬の変色域が重なっていれば、中和点を確認することができるというわけです。
強酸に強塩基を加える場合の滴定曲線と指示薬
強酸と強塩基を中和するとpHは中性の7となりますので、
pHジャンプの中点は7にならなければなりません。
また、pHジャンプの範囲にフェノールフタレイン・メチルオレンジどちらも変色域が含まれているため、強酸と強塩基の中和においては、フェノールフタレイン・メチルオレンジどちらの指示薬も使用することができます。
とはいえ、無色から赤色の変化のほうが見分けがつきやすいので、どちらかといえばフェノールフタレインのほうが好まれます。
強酸に弱塩基を加える場合の滴定曲線と指示薬
強酸と弱塩基を中和するとpHは中性の7より小さな弱酸となりますので、
pHジャンプの中点は7より小さくならなければなりません。
なぜ中和点のpHが7より小さくなるのかを忘れた人は【図解】塩の加水分解と塩の種類と分類・液性を解説を参考にしてください。
また、pHジャンプの範囲にメチルオレンジの変色域が含まれているため、強酸と弱塩基の中和においては、メチルオレンジを使用することができます。
弱酸に強塩基を加える場合の滴定曲線と指示薬
弱酸と強塩基を中和するとpHは中性の7より大きな弱塩基となりますので、
pHジャンプの中点は7より大きくならなければなりません。
また、pHジャンプの範囲にフェノールフタレインの変色域が含まれているため、弱酸と強塩基の中和においては、フェノールフタレインを使用することができます。
弱酸に弱塩基を加える場合の滴定曲線
弱酸と弱塩基の組み合わせの場合はそもそも出題されることはありません!!
ので不要です。
上のように、pHジャンプがそもそもないため、ゆるやかにpHが変化していくため、指示薬が使えないのです。
さいごに
中和滴定の指示薬は実験器具とともに出題されることが少なくありません。実験器具の理解があいまいなひとは、【完全版】中和滴定の滴定器具の使い方と違い(練習問題付き)で確認しておきましょう。
なお、僕がこれまで1000名以上の個別指導で、生徒の成績に向き合ってきた経験をもとにまとめた化学の勉強法も参考にしてもらえれば幸いです。
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